有田晩香窯の初代晩香、即ち庄村健吉の尺三(直径40cm)の大皿の出品です。初代の作品を見ることは稀です。初代晩香と言えば、高価な正円子を使ったピンクの地色に孔雀を描いた大皿が有名です。その大皿は、今も晩香窯に飾られています。本作も縁の副飾文様にピンクを含むパステル系の可憐な色を使っています。人物像に加えて、画面左上に龍を描いているのが目を惹き、初代晩香の作品の中では珍しい画題の部類に入ると思います。また、ご覧の通り、とても丁寧な絵付けです。パステル系の色を使った初代晩香の作品は本当に上品で華やかですが、なかなか市場に現れません。 明治に創業し、現代まで続く有田焼の窯元晩香窯庄健(ばんこうがましょうけん)。明治17年(1884年)に上絵付を専業とする赤絵屋として始まり、製品には、初代である庄村健吉の俳号「晩香」の銘が使われました。その後、昭和初期の恐慌や第二次世界大戦、戦後の復興期、そして平成の時代へと、時代の変化に対応しながら代を重ね現在に至ります。 赤絵屋時代の製品は希少です。2018年の展示会に於いても、初代の作品は数点だけの展示でした。 初代の銘は、晩の字の偏と旁が左右逆になっている上絵の署名か、篆書体の赤文字の銘かのいずれかです。 出品の品は、ほぼ新品と言っても良い保存状態です。表面数箇所にわずかな使用跡が見られるだけです。また、欧米の家屋に飾るため、日本では珍しいですが、欧米ではよく見かける鉄製の壁掛器具が装着されています。いもちろん、ヒビ、ワレ、カケなどの後天的な瑕疵は一切ありません。とても綺麗な状態です。
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